電話での催促方法

確かに、顧客に支払遅延について尋ねるにはいくらかスキルを要します。気まずさを感じることもあるでしょう。

ところが、大抵の問題はすぐに、気兼ねない一本の電話でたやすく解決するものです。

businessman talking on phone

顧客と話す機会を設けて直接のつながりを持っておくことが、特にコロナ禍のような経済的に不安定な状況において有効になる場合があります。例えばサプライチェーンのいずれにおいてもコロナ禍の影響を受けているとします。もしかすると、顧客はあと数日で請求書を支払う準備ができるところかもしれません。もしあなたが顧客の支払いをあと数日だけ待つことができるのであれば、法的措置に訴える時のような労力を割く必要はありません。そうすることで顧客との関係性を維持し、将来の取引の成長可能性を失わずに済むことのほうが大切です。

良い電話、というのは一辺倒ではありえません。債務者は一人ずつ異なりますし、今回はうまくいったことが、次でうまくいくとは限りません。しかしながらこのことが、しっかりと準備をしたうえで一定の柔軟性を以て望むことで回収を成功させる可能性を大きくするための理由でもあるわけです。

延滞客に電話をする前に検討すべきこと

誰が電話をかけるべきか?

すべての従業員が催促の電話をかけるのに適しているわけではありません。あなたの会社の取引構造や、取引先との関係性を考えてみてください。財務部の誰かが相手の財務にかけるべきでしょうか?あるいは、より個人レベル-かつ生産的な話の出来うる-相手の与信管理者にかけるべきですか?電話をかける人は自分が適していると認識していますか?通話者をサポートするためのトレーニングや、情報共有、あるいは別の担当者に依頼するということも検討してみましょう。

明確なターゲットを決める

ターゲットを決める時、何を獲得したいのか、そして何を妥協できるかを決めておくとよいです。例えば、支払いは満額受け取りたいけれど、支払日についてはある程度妥協できるのであれば、顧客に対し今しばらく支払いまでの時間を与えられるでしょう。支払日を猶予できないのであれば、支払計画を変更し、支払いの一部を前払で受け取って、残りを分割払いにすることなどを検討できるかもしれません。

準備

催促の電話を入れる前に、負債の背景について顧みてみましょう。今回の遅延はそもそもの取引に原因がある可能性があります。もしかすると、顧客がディスピュートを主張するのには製品やサービスのレベルや品質について不満があるのかもしれません。あるいは、営業部があなたの知らない間に別の支払条件について約束を取り交わしているのかもしれません。

決済ができない問題がないかどうかを確認しましょう。そして、解決案がないか模索しましょう。客は発行した請求書の内容がなにか間違っていて、それを理由に支払いをためらっているのかもしれません。電話をかける前に確認しましょう:

  • 請求書には必要事項はすべて含まれていたか
  • 正しい宛名で正しい部署へ送付したか
  • そもそも請求書は受け取られているのか
  • 客の経理部は請求書を処理するために追加情報を要求してきてはいないか

電話に対する客の応答を複数想定しておきましょう。弁明するのか、あるいは問題解決に向けて協力する意思はありそうでしょうか?あなたの会社よりも事業規模の大きい取引先の場合、そのことに付け込んできていたりはしませんか。ここで、よくある言い訳にはどのようなものがあるかを見ておくことで、どう相手に応答するかを一考するのも手です。

以下の情報を含む顧客管理ファイルを作成しましょう:

  • 電話先の相手の名前とその人の情報
  • これまでの支払履歴
  • これまでの督促通知と督促電話の記録(直近の支払遅延の理由)

請求書の延滞連絡を電話する

直接担当者にかけるか、担当者を名前で呼び出す:

  • 丁寧に、かつ落ち着いて、親しげなトーンを保ちながら、集中して毅然とした態度でいること
  • 真っ先に本題に入り、要求を明確に伝えること
  • 思いやりをもって接してください。客には支払わない理由があるかもしれないこと、さらにその理由があなたの取引方法にあるのかもしれないことを忘れないようにしましょう。友好的に解決できたかもしれないところを、誤解と不満をぶつけあって終わってしまうよりも、前向きな関係性を保っておいたほうが今後の取引において重要かもしれません。
  • もし客が過去にも支払遅延を起こしていたり、債務を払うことを拒んだりしてきたことがあった場合、次に取る予定の行動を伝えることが効果的かもしれません。それは以下を含みます:
  1. 延滞日数ごとの利息請求
  2. 現在、そして今後の商品・サービスの供給停止
  3. 支払期間の撤回(短期化)
  4. 回収業者の介入
  5. 法的措置の実行
  • 電話中はメモを取り、双方が納得した証拠として、電話の最後には誰が何をいつまでにするのかについて、今後の行動を決めましょう。
  • 電話を切ったあとは、すぐに電話のポイントと今後の方向性についてまとめたメールを送りましょう。

延滞連絡後にすること

証拠資料

顧客ファイルにあなたの記録したメモをきちんと保存しましょう。証拠書類をシステムに保存するのは非常に大切です。なぜなら、のちに同僚や回収業者、法定代理人が本件をあなたから引き継ぐかもしれないからです。

言ったことは守る

期日を決めたのであれば、それはしっかりと守りましょう。同様に、合意した期日になっても支払われなかった場合は、その場合どうするかについて取り決めた通りに実行する必要があります。

粘り強く対応

もしかすると一回以上、債務者に連絡をする必要があるかもしれません。その準備をしておきましょう。そうすることでスケジュールを立てやすくなります。例えば、請求書が一日、二日と支払日を過ぎてしまったら、一度連絡をしましょう。同様に、五日後、七日後と、最終的に三十日後にいたるまで連絡を続けるようにしてください。この頃になっても支払いをしてこなかった場合は専門家や法的措置へ事態を進展させるか、あるいはその可能性を相手にほのめかしましょう。

顧みる

少し時間をかけてこれまでの行動を顧みることで、回収実績を継続して改善することにつながります。以下の質問を役立ててみてください:

  • 私はポジティブな態度で、適切な声のトーンを使った感じの良い電話をしたか
  • 常に本題に集中できていたか
  • 実現不可能な約束は交わしていないか
  • 質問に対し適切な回答は得られたか
  • ポジティブな面について触れたか
  • 通話時間は適切な長さだったか
  • 自分の交渉内容に満足しているか、あるいは何か改善事項はあるか

催促電話に失敗したら

未払請求書について、支払確約を得たり、支払計画に同意を得られなかった場合、スペシャリストのアドバイスを受けるというのも一つの手です。解決方法について、仲裁者と交渉したり、債権回収のために裁判所に訴える必要が出てくるかもしれません。専門の回収業者も非常に有用です。時には、回収業者からの電話一本で支払遅延が解決することもあります。債務者が海外にいる場合は、債務者と同じ国に事務所があり、債務者と同じ言語を扱える代理人を利用するのもよいでしょう。

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