希望の光 - エネルギー・アウトルック2024

エコノミックリサーチ

  • ,
  • アルジェリア,
  • アンゴラ,
  • アルゼンチン,
  • オーストラリア,
  • オーストリア,
  • バングラデシュ,
  • ベルギー,
  • ブラジル,
  • Bulgaria,
  • カナダ,
  • チリ,
  • 中国,
  • コロンビア,
  • ,
  • クロアチア,
  • ,
  • チェコ,
  • デンマーク,
  • エジプト,
  • エストニア,
  • フィンランド,
  • フランス,
  • ドイツ,
  • ギリシャ,
  • 香港,
  • ハンガリー,
  • アイスランド,
  • インド,
  • インドネシア,
  • イラン,
  • アイルランド,
  • イタリア,
  • 日本,
  • ヨルダン,
  • ケニア,
  • クウェート,
  • ラトビア,
  • リトアニア,
  • ルクセンブルク,
  • マレーシア,
  • メキシコ,
  • モロッコ,
  • オランダ,
  • ニュージーランド,
  • ノルウェー,
  • ,
  • ペルー,
  • フィリピン,
  • ポーランド,
  • ポルトガル,
  • ルーマニア,
  • サウジアラビア,
  • シンガポール,
  • スロバキア,
  • スロベニア,
  • 南アフリカ,
  • 韓国,
  • スペイン,
  • スウェーデン,
  • スイス,
  • 台湾,
  • タンザニア,
  • タイ,
  • チュニジア,
  • トルコ,
  • アラブ首長国連邦,
  • アメリカ合衆国,
  • イギリス,
  • ベトナム
  • その他

2024/03/19

ネット・ゼロ・エミッションの未来への道筋はますます狭くなっているが、まだ軌道から外れてはいない。

要旨

1 軌道から外れたのか?

  • 記録的な猛暑となった今年、パリ協定のCOP28ストックテイク・サミットは、暗澹(あんたん)とした表情を浮かべた。まるで エネルギー転換が軌道から外れているかのように。
  • そうではない。ロシア侵攻後、政府の介入、エネルギー効率化、CO2排出量の削減など、エネルギー転換は着実に加速している。
  • 明るい兆しも見えている: 中国がエネルギー転換に大きな役割を果たし、投資が大幅に増加し、技術コストが下がり続け、ク リーンエネルギーの競争力が高まっている。

2 明るいスポットがシナリオを改善

  • これらの明るい点は、シナリオの改善につながる。化石燃料需要のピークが早まり、自然エネルギー、特に太陽光発電の導入の 勢いが続き、中国がクリーンエネルギーに転換する。
  • 先進国は、強力な政策支援に助けられ、エネルギー需要の削減とクリーン化でリードしている。中国を除く新興国は、コミット メント、政策、資金を必要としている。
  • 発表された政策と実施された政策のギャップは縮まりつつあり、2050年までのネット・ゼロ・エミッション(NZE)のシナリ オも固まりつつある。しかし、そのギャップは依然として大きい。
  • したがって、間違いを犯してはならない。実施と資金拠出を求める声は、相変わらず大きい。

3 再生可能エネルギーの見通し

  • 2023年は、再生可能エネルギー容量の増加において記録的な年となった。石油・ガス価格の高止まり、エネルギー安全保障、そ して特に太陽光発電のコスト低下がこれに貢献した。その上、支援的な政策イニシアチブも自然エネルギーの勢いを後押しして いる。
  • 中国は、太陽光発電と風力発電の両方で、最も多くの再生可能エネルギー容量を追加している。太陽電池製造への大規模投資 は、現地の太陽電池モジュール価格の下落に貢献し、太陽エネルギーの競争力を向上させた。中国は、2030年に向けて、また長 期的には2050年に向けて、最も多くの発電容量を追加すると予想される。
  • ベースライン・シナリオでは、電力需要は、特に経済発展、人口増加、所得向上を原動力として、新興国や発展途上国で力強く 伸びる。特に運輸部門では、電化が本格化する。追加的な電力需要は、すべて低排出ガス電源で賄われ、自然エネルギーが支配 的な電源となる。太陽光発電が最も支配的な電力源となる。NZEシナリオでは、こうした動きはさらに顕著になる。
  • 電力供給の信頼性と安定性を維持するためには、電力部門への大規模な投資が必要である。自然エネルギーの力強い成長に対応 するためには、送電網への投資が不可欠である。許認可プロセスのスピードアップがそうであるように。

4 石油市場の見通し

  • パンデミック後に石油市場を特徴づけた変動は、2023年には緩和された。短期的な見通しは、よりバランスのとれたものとな っている。世界経済が減速し、需要目標政策が効果を発揮しているため、世界的な需要の伸びは鈍い。米州の堅調な生産増加が OPEC+の減産をほぼ相殺する。
  • 世界の石油需要は2020年代後半にピークを迎え、減少に転じると予想される。特に欧州と北米では、自動車の電動化をター ゲットとした、より断固としたエネルギー転換政策が、需要減少の主な要因となっている。需要の減少により、生産は低コスト の供給源へと向かうだろう。そのため、OPEC+は、縮小する石油市場でのシェアを拡大することになる。
  • その結果、将来の石油価格は、現在の1バレルあたり80米ドル前後の水準よりも大幅に低下する。2030年には1バレル74米ド ル、2050年には60米ドルまで下落すると予想する。特に地政学的紛争が激化した場合のボラティリティは残る。それでも、急 騰のリスクは低下している。
  • NZEシナリオでは、特にEMEsにおけるエネルギー転換政策が大幅に積極化するため、石油需要はより急速に減少する。石油生 産は、操業コストの低い資源国への集中がさらに進み、OPEC+市場シェアがさらに拡大する。2050年には、石油価格は1バレ ル当たり25米ドルまで下落する可能性がある。

5 ガス市場の見通し

  • ガス市場は、ロシアのウクライナ侵攻で大きなストレスを受けた後、2023年には徐々にバランスを取り戻している。ガス価格 は現在、米国で前年比68%安、アジアで同39%安、欧州で同54%安となっている。
  • 世界のガス需要は間もなくピークに達し、2030年には7%、2050年には42%も減少すると予想される。強力な政策支援により、 エネルギー供給におけるガスの割合は、2030年までに電力セクターで減少し、その後ビルや産業でますます減少するだろう。
  • ガス需要は、アジア太平洋、中東、アフリカで2030年まで増加し、その後減少に転じると予想される。アメリカとヨーロッパ は、中期的にも長期的にもガス需要が減少すると予測されている。
  • 2050年にはロシアが最大のガス供給国になると予想されている。しかし、ロシアの供給量は40%近く減少する。LNGの世界 的な余剰により、ロシアが非ヨーロッパ市場に多様化する選択肢は少なくなる。中東は依然として、当面の最大の供給増加源 である。
  • ガス価格は3地域(米国、欧州、アジア)すべてで下落傾向にある。世界のガス市場は、欧州へのロシアのパイプライン・ガス 供給の喪失に適応し続けるため、ガス価格は10年半ばまでやや高止まりするだろう。これは他の輸入地域の価格にも波及する。