化学製品業界トレンド:2022年 フランス

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2022/11/24

厳しい市場環境に各企業はおおむね対処

 

 

 

フランスの化学製品企業 - 信用リスク評価

 

 

これらすべてが、企業の利益率とキャッシュフローに大きな圧力 となりました。塗料および塗装剤セグメントは、エネルギー価格 の高騰と、自動車、航空、建設の各業界からの需要低迷というダ ブルパンチを食らいます。農薬サブセクターでは、エネルギー価 格と原材料価格の大幅な上昇で、大規模な減産に追い込まれた企 業があります。とは言え、基礎化学品サブセクターは適切に上流/ 下流を統合した大企業が多いため、現状では回復基調にありま す。石けんおよび洗剤セグメントのメーカーの多くは、原材料価 格の上昇を消費者に転嫁できます。

 

 

 

 

 

フランスの化学製品生産量

 

 

 

 

 

この業界の支払期間は国内向けでは平均でおよそ60日ですが、 輸出市場ではさらに長期になります。支払決済状況は過去2年間 は健全で、従来から支払遅延は低いレベルにとどまります。とこ ろが、エネルギーコストの上昇が企業の利益率とキャッシュフ ローに悪影響を与えたため、今後12か月間の支払遅延事案はおよ そ30%増えるものと見込んでいます。とは言え、倒産事案はおよ そ1%の微増と予測しています。化学製品セクターでは財務体質が強固な企業が多く、厳しい市場環境にも対処可能です。そのた め、当社ではフランスの化学製品セクターの信用リスクレベルを 「Fair(良好)」と評価します。さらに、フランス政府はエネル ギー価格の高騰に苦しむ企業の支援を継続しています。現在も、 エネルギー集約型企業に対する支援額を倍増させる提案が検討さ れています。エネルギー調達契約の政府保証も考えられます。 

しかし、フランス政府は化学製品業界の排出量を2030年には対 2015年比で26%削減することを目指しているため、国からの支援 策で今後数年にわたって新たな問題が生じる恐れもあります。こ の目標達成には、高いレベルの設備投資が求められるからです。 特にプラスチック業界では、EUの使い捨てプラスチック製品の 禁止などの環境規制に対応するためにスピーディな転換が求めら れています。