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化学製品業界トレンド:2022年 イタリア

他の業界よりも市場ショックから早期に回復
28 Dec 2022
利益率が低下しているにもかかわらず、イタリアの化学メーカーは十分な資本を持ち、外部からの資金調達に過度に依存していないため、回復力が高まっています。 化学製品業界トレンド:2022年 イタリア 他の業界よりも市場ショックから早期に回復     [Asset Included(Id:1657027197800;Type:AT_Media_C)]     化学製品の生産量および売上は2021年に底堅い回復を見せたもの の、2022年上期に大きく減少しました。欧州の主要市場(フラン ス、ドイツ)の需要減で、成長の中心的な原動力となる輸出量が 急減しました。自動車や繊維産業の内需は引き続き堅調です。建 設業の売上も落ち込み、その影響は塗料および塗装剤セグメント に及びました。高インフレ圧力は、一般家庭の石けんや洗剤の消 費量を抑えています。 現在のエネルギーおよび原材料の価格高騰で、イタリアの化学製 品メーカーは国外のライバル企業から吹く向かい風に加えて、 主な末端市場の需要減にさらされています。さらに、イタリアの 化学製品メーカーが求める主要原材料バージンナフサのサプライ チェーン問題があります。一次産品価格やガス価格の高騰で、一 部の化学製品メーカーは操業停止やレイオフに追い込まれまし た。エネルギー価格の高騰から企業を守るための公的支援の範囲 と規模は依然として未知数です。     [Asset Included(Id:1657027197830;Type:AT_Media_C)]     利益率の悪化にもかかわらず、イタリアの化学製品メーカーの資 本状況は引き続き健全で、外部からの資金調達に過度に依存して いません。化学製品業界が他の業界よりも市場ショックに対する 耐性が高い理由がここにあります。 当社は高いエネルギーコストを根拠として、今後12か月間の 支払遅延事案は増えるものと考えています。最新の「アトラ ディウス支払決済バロメーター(Atradius Payment Practices Barometer)」によれば、売上債権回転日数(DSO)は平均で 100日を超え、今後数か月間でさらに悪化すると各企業では懸念 されています。倒産件数は非常に低いレベルにありましたが、今 期は増加するものと当社では考えています。もし深刻なガス不足 の長期化またはガス供給制限が現実のものとなると、特に中小の 化学製品メーカーや流通業者の倒産リスクが大きく拡大する可能 性があります。 現時点の主な問題点を考慮したうえで、財務回復力と低い債務不 履行率を根拠として、イタリアの化学製品セクターの信用リスク 状況を「Fair(良好)」と当社では評価します。基礎化学品およ び特殊製品セグメントは引き続き堅調ですが、農薬セグメントは 信用リスクが高めと判断しています。このサブセクターでは歴史 的に代金回収期間が長期であったうえに、調達先をロシアとウク ライナに依存していたため、原材料不足の影響をまともにかぶり ます。