グローバル電子機器/ICT産業の展望2023年

今年の上半期、難しい経済状況の影響が電子機器/ICT産業にも及びました。しかし、最近の兆候からは、下降傾向が緩和され、近い将来に成長が予測されていることが示唆されています

実際に、ICTセグメントは今後数年間で世界で最も急速に成長する製造業セクターの1つになる可能性があります。しかし、展望は完全に明るいわけではありません。半導体の供給に関する緊張や市場の飽和の可能性など、地政学的な問題が見通しを曇らせています。

電子機器/ICT市場に直面している主要な問題は何ですか

継続している米中の緊張やいわゆる「チップ・ナショナリズム」は、産業にとって取引リスクをもたらす主要な問題です。半導体生産はアジア、ヨーロッパ、米国にとって戦略的な優先事項であり、成長と再配置を支援するためにいくつかの国で法律や補助金が利用されています。

しかし、この一方的なアプローチは、市場リスクを伴います。それには、潜在的な重複や過剰供給、先進国の労働コストの上昇によるコスト増加が含まれます。

中国とアメリカの緊張の潜在的な結果の一つは、特にベトナムとインドなどのアジアの新興国での成長の可能性があります。しかし、この成長は一様ではありません。日本の半導体企業は、そのビジネスの20〜30％を中国で生み出しており、米国の規制によりそのうち約70％を失う可能性があります。韓国はその半分のメモリチップを中国に輸出しています。また、台湾と韓国の製造業者は中国の工場にも多額の投資をしています。

現在、台湾は先進的な半導体の世界的な生産リーダーです。生産に混乱が生じる要因は、世界の電子機器/ICT産業に対して壊滅的な影響を与える可能性があり、一部の見積もりでは数兆ドルの貿易損失が予測されています。これにより、台湾は戦略的に重要であり、外部の脅威からのグローバルな保護を享受しています。ただし、他の地域が高度なチップ開発を再配置することに成功すれば、この保護は衰える可能性があります。

確かに、貿易の緊張は今後数年間において産業にとって最も深刻なリスクの一つです。しかし、電子化および電気自動車から製造業までの様々なセグメントでの先進的な半導体への需要増加や、コンピューティングにおける需要は、産業の成長を支える可能性があります。

カイル・コング（Kyle Kong）は、アトラディウス（Atradius）のICT専門家であり、台湾台北所属のシニアクレジットリスクアナリストです。彼は、グローバル電子機器/ICT産業の展望に加えて、これらの問題を詳しく探究しています。その詳細な内容については、「Global Electronics/ICT Industry Outlook 2023」で確認することができます。