業界トレンド：化学製品業界 2022

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短期的な課題

• ガス不足/ガス供給制限：エネルギー集約度の高い化 学製品業界では、原材料として天然ガスを大量にス トックしておく必要があります。ウクライナの戦争 と、特に欧州のエネルギー供給の不安定要因からくる 不確実性がおぼろげながらも影を落としています。大 規模なガス不足やガス供給制限が起こると、欧州の化 学製品メーカーには深刻な打撃となり得ます。

• 先進諸国の景気後退：終わりの見えないインフレ圧力 が広がり、それを受けた各国中央銀行の大胆な金融引 き締め政策が先進諸国の展望に重くのしかかっていま す。景気後退と高インフレが続くと、一般消費者や大 口バイヤーの業界（自動車産業や建設業など）の化学 製品需要が大きく冷え込むことになりかねません。

中長期的展望-商機と課題

• 市場別のコスト競争力：米国のシェールガスブーム で、化学製品業界、特に基礎化学品のグローバルな勢 力図が再び構築されました。ガスの低価格と安定供給 で、米国の化学製品業界は原材料コストの点で優位に 立てるため、大規模な投資を呼び込んでいます。その 他の地域、特に欧州では長期的に競争力が低下してい ます。

• 新興市場における中産階級の勃興：新興市場の急速な 都市化と一般家庭の中産階級の購買力の向上で、石け んおよび洗剤製品の需要は必ず伸びると見られます。

• エネルギー転換とサステナビリティ問題：企業に対す る法規制が厳格化し、消費者の趣向が変化すると、化 学製品ビジネスに新たな商機と課題が生まれるでしょ う。「グリーン」な製品、「倫理的に問題のない」よ うな製品へのい関心が高まっています。原材料の調達 先や環境へのインパクトを購入時に確かめる消費者 が増えています。そのため、各企業は脱炭素化やカー ボンフットプリントの最適化に対応できるように、大 規模な投資を迫られています。さまざまなステークホ ルダー集団からの圧力も厳しくなりつつあり、ESGパ フォーマンスはコストやさまざまな生産性指標ととも に高く評価される見通しです。