金属・鉄鋼業界の動向 ベルギー - 2022年

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2022/09/05

倒産件数は増加したものの、史上最少レベルに

ベルギーの金属・鉄鋼業 - 信用リスク評価

ユーロ圏およびベルギーの経済状況は、ウクライナ紛争の影響を受けて悪化しており、ベルギーの工業生産は今年3%以上縮小し、建設部門の生産高は横ばいになると予想されています。これは、主要なバイヤー業界(ヒートポンプと太陽光発電部門以外)の金属と鉄鋼の国内需要にもマイナスの影響を及ぼすでしょう。金属・鉄鋼の生産量は、昨年は2.5%減で、2022年には2.1%増にとどまると予測されます。

ベルギーの金属と鉄鋼の生産量

金属・鉄鋼の業績に悪影響を与えるその他の要因として、進行中のサプライチェーンの問題、原材料、輸送、エネルギー(ガス)の価格高騰などが挙げられます。また、熟練労働者の不足とインフレ時の自動的な賃金スライドにより、人件費も高騰しています。現在の市場環境では、最終的な納入先(エンドバイヤー)に仕入れコスト(特にエネルギー)の高騰を転嫁できないため、金属・鉄鋼企業の利益率に対して圧力が強くなっています。しかし、ガス価格の高騰により、効率的なエネルギー利用や生産プロセスへの移行が加速しています。

ベルギーの金属・鉄鋼業界における支払いは平均90日で、この2年間のセクターの支払い行動は良好でした。利益率の低下と需要の減少により、支払遅延と経営破綻が増加していますが、2020年と2021年は、パンデミック関連の財政支援策があらゆる業界を支えていたため、歴史的に低いレベルにとどまりました。いず れのセクターも倒産件数が平均を超えている現状を考えると、建 設業と運輸業への依存度が高い金属・鉄鋼メーカーの経営破綻の リスクは非常に高いと考えられます。金属・鉄鋼の倒産件数は、 2020年に2桁減少した後、2021年には30%増加すると予想してい ます。

金属と鉄鋼については、支払遅延や倒産件数が低いレベルから始まり、パンデミック発生前の「正常」な数値に戻ると予想されるため、当面の間、引受スタンスはオープンからニュートラル(中立)を維持します。しかし、ウクライナ紛争の長期化によるエネルギー価格の高騰、ユーロ圏の景気後退は、今後の見通しの下振れリスクとして残されています。このシナリオで考えると、金属と鉄鋼の生産量は2023年に3%以上縮小する可能性があります。

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