金属・鉄鋼業界の動向 ドイツ - 2022年

ドイツの金属・鉄鋼部門は、国内経済が回復の兆しを見せるほ か、主要なバイヤー業界から大量の受注を受け、2021年から 2022年初めにかけて回復しています。しかし、サプライチェーン のボトルネックと原材料の不足により、業界の回復の勢いは鈍化 しています。大半の金属・鉄鋼生産者は、自動車産業へのサプラ イヤーを除いて、物価上昇をバイヤーに転嫁することができま した。金属・鉄鋼セクターのほとんどの企業では、2021年から 2022年第1四半期にかけて利益率が改善されました。

ウクライナ紛争による経済的影響を受けて、この業界はさまざま な課題に直面しています。先行き不透明な状況と製造セクターに おけるサプライチェーン問題が投資支出を圧迫し、今年の金属・ 鉄鋼生産量は1.6%減少すると予想されています。

大半の金属・鉄鋼生産者は、エネルギー（ガス）価格の高騰を顧 客に大きく転嫁することができました。しかし、急激なコスト上 昇は、金属・鉄鋼企業の業績と成果への影響が見え始め、特に、 すでに流動性が制限されている企業に影響を及ぼしています。生 産者は生産量を減らし、在庫削減を図っています。鉄鋼分野の需 要減退と世界的な設備過剰（生産能力過剰）が重なり、卸売業者 は膨大な在庫に悩まされ、おそらく年末にかけて減価償却に直面 する可能性があります。

支払いにかかる日数は平均して30～45日ですが、場合によって は、90日ほどかかることもあります。この2年間の業界の支払い 行動は良好でした。しかし、現在の重大な課題（供給のボトル ネック、エネルギー価格の高騰、ドイツおよびユーロ圏の景気停 滞）により、今後12か月間は支払遅延や経営破綻が増加し、パン デミック以前の「通常レベル」に戻ると予想しています。

ロシアがガス供給を大幅に削減または停止した場合、同セクター の信用リスクへの影響は深刻であり、多数の債務不履行につな がると思われます。このシナリオでは、金属・鉄鋼業の生産量 は2022年に2%、2023年に1.7%縮小すると予想されます。当面の 間、鉄鋼、非鉄金属、金属製造分野の引受スタンスはオープンか らニュートラル（中立）を維持しています。ただし、エネルギー 費の負担が大きい鋳造事業に対しては、慎重に対応します。