金属・鉄鋼業界動向 オランダ - 2022年

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2022/09/05

建設需要は旺盛だが、下振れリスクは依然残る

オランダの金属・鉄鋼業 - 信用リスク評価

オランダGDPに占める鉄鋼・金属セクターの割合は約1%程度です が、建設、自動車、機械などの主要サプライヤーとして重要な位 置を占めています。鉄鋼・金属業界は、国内の建設セクターの業 績に大きく依存しています。さらに、金属企業の多くは輸出中心 の事業を展開しています。

この業界では、継続的な好調な需要と受注残の恩恵を受けていま す(たとえば、主要なバイヤーセクターとしての建設業の生産量 は今年6.5%増加すると予測)。しかし、オランダの企業は、先行 きが不透明な地政学的状況、サプライチェーンのボトルネック、 金利の引き上げなどにより、投資に対して消極的な姿勢を強めて います。ウクライナ紛争が長引き、エネルギー市場の混乱が続く と、金属と鉄鋼の売上が2%程度縮小する可能性があります。

オランダの金属と鉄鋼の生産量

2021年と2022年の第1四半期に利益率が上昇したものの、顧客に 転嫁できないほどのエネルギー価格の高騰により、金属・鉄鋼生 産者は利益率縮小の圧力に直面しています。一部の企業はすでに 生産体制の縮小や代替エネルギーの確保に着手しており、ガスへ の依存度を減らしています。

オランダの金属・鉄鋼セクターにおける支払期間は、サプライ チェーンの各企業の位置付けによって異なりますが、通常、平均して約60日要しています。過去2年間は、国内企業を対象とした 新型コロナウイルス関連の財政刺激策に支えられ、支払い行動は 良好で、倒産件数も低く抑えられていました。しかし、2022年3 月末に財政支援が終了し、ウクライナ紛争がオランダ経済にマイ ナスの影響を与える中、今後12か月間は支払遅延と債務超過がい ずれも増加すると予想されます。不確定要素の多い経済状況にお いては、現在のところは、その増加量を判断するのが難しいと言 えるでしょう。

こうした要素を踏まえ、十分な受注残があること、ほとんどの企 業が過度にレバレッジ率が高くないこと、銀行が融資に前向きな 姿勢であることを考慮すると、オランダの金属・鉄鋼業界の信用 リスク状況は「Fair(良好)」と評価されています。

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