金属・鉄鋼業界の動向 米国 - 2022年

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2022/09/05

堅実な需要状況は継続する

米国の金属・鉄鋼業 - 信用リスク評価

米国の金属・鉄鋼の生産量は、2021年に非常に高い成長率を記録した後、主に住宅建設、航空宇宙・輸送、エンジニアリングなどの継続的な堅調な需要に牽引され、今年は約5%増加すると予想されます。ただし、2022年上半期の自動車販売数の減少は、燃料費の高騰と消費者物価の上昇を考慮すると、金属の使用量が多い高価格の消費財に対する需要が減少していることを示唆しています。サプライチェーンの制約がある中で、受注残が続いています。石油・ガス価格が急激に高騰する一方で、需要は旺盛なため、金属・鉄鋼企業は仕入れコストの上昇分を価格に転嫁することができます。金属・鉄鋼業界に関しては、サプライチェーンの混乱を回避し、価格の安定性を高めるために、一部の米国系メーカーが生産を国内に戻したことが功を奏しています。

米国の金属と鉄鋼の生産量

 

とはいえ、EUからの輸入品に対する関税232条(米国通商拡大法 232条)が一部縮小され、対米ドルでユーロ安が進行しているこ とで、米国の金属・鉄鋼業界は、国内市場ではEUの同業他社と の競争の激化に直面しています。これにより、2023年の国内生 産の伸びが抑えられ、約3%の増加に留まると思われます。

継続する高インフレは、米連邦準備制度理事会(FRB)による積 極的な金融引き締め策につながる可能性があり、依然として下振 れリスクとなっています。経済のハードランディング(景気の急 激な失速)は、消費と投資の減少を招き、金属と鉄鋼の需要を減退させる恐れがあります。このシナリオでは、2023年の金属・ 鉄鋼業の生産量は約1%縮小すると予想されます。

金属・鉄鋼セクターの支払期間は、2021年の81日から、2022年 には平均45日に改善されました。これは、供給の問題と高い需 要が重なり、ほどんどのバイヤーが支払期限の延長を要求できな かったためです。しかし、大多数の企業は、中期的には支払期間 の長期化が復活すると予想しています。2021年と2022年の上半 期は、未払いや倒産件数は少なく、今後12か月間は悪化しないも のと思われます。金属・鉄鋼企業は銀行融資への依存度が高いの が特徴ですが、ギアリング率(負債比率)は一般的に安定してい ます。銀行は、資本集約的な金属・鉄鋼企業で安定した利益を上 げている企業には、積極的に融資を行います。当社の引受スタン スは、主要サブセクター(鉄鋼、非鉄金属、鋳物、金属製造)す べてにおいてニュートラル(中立)を維持しています。

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