インド:不良債権水準は依然として高い

支払動向バロメーター

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2022/06/28

インドで調査を行った企業は、長期の未払い債権を回収するのが困難であると語っています。

はじめに

2022年版アトラディウス支払動向バロメーター(インド編)の調査結果を見ることは、企業は事業の運営で現在の厳しい経済状況や取引環境の破壊的な影響にどのように対処しているのかを、企業から直接知る貴重な機会です。

取り上げるトピック:企業間(B2B)顧客に対する支払条件、延滞したB2B請求書を現金化するまでの平均時間、支払遅延や不払が企業に与える影響、今後数か月間で予想される収益性への課題など。

調査アンケートは、2022年第2四半期にインドの企業によって記入されました。調査対象の企業からの回答は、2022年6月版のアジア向けアトラディウス支払い慣行バロメーターの一部であるインドのレポートに含まれています。

レポートの重要なポイント

企業間取引の不良債権と顧客の債務不履行は憂慮すべきレベル

  • 回収不能および顧客の債務不履行として貸倒償却された不良債権のレベルは、インド市場で調査されたすべての業界で高いままです 。回収不能と債務不履行は両方とも主要な懸念事項と見なされています。いずれの場合も、世界のサプライチェーンの混乱に最も苦しんでいる耐久消費財業界では、この数字は特に憂慮すべきものでした。私たちの調査では、問題の主な要因は、多くの顧客が流動性の問題を抱えていることであることがわかりました。
  • インドの企業は、企業間取引で生じた遅延の問題と戦うために広範な措置を採用しました 。商品やサービスの配達のために現金での支払いを求める企業もいれば、顧客に対してより厳格な信用調査を好む企業もいました。早期支払いの割引を提供することも別の方法でしたが、電子機器/ ICT業界では、支払い条件に対してより柔軟なアプローチを試みました。全体として、信用取引での企業間取引売上の平均合計値はわずかに減少しましたが、それでも企業間取引売上高の半分を占めています。

売掛金回転日数(DSO)が悪化するにつれて重要になる信用リスク戦略

  • インド市場において、前回の調査より売掛金回転日数(Days-Sales-Outstanding:DSO)が悪化したと回答した企業は60%増加しました。 これらの企業はまた、長期の未回収債権を回収することの難しさについても述べました。明らかな結果は、企業が信用リスク管理強化の重要性を痛感していたことです。ますます多くの企業が、信用保険の補償とそれに伴う財務安定性と融資提供の恩恵を享受していると報告しました。
  • インド企業の将来へのポジティブな見解は、今回の調査で示されました。 今後数か月の間に企業間取引の顧客との信用取引が増加し、支払い慣行の改善も期待されます。ただし、これにも関わらず、調査対象の企業は、おそらく深刻になるであろうDSOの変動時期も予想しています。これは、今後のいくつかの懸念事項の一つです。もう一つは、製品やサービスの需要が減少する可能性があることですが、パンデミックによる国内および世界の貿易状況の継続的な混乱も懸念されています。

インドにおける主な調査結果

  • 売上高のほぼ半分が信用取引で販売され、顧客維持に重点を置いています。
  • B2B取引の支払い条件は安定しており、信用保険の認知度が高まっています。
  • 不良債権と顧客の支払いのデフォルトレベルは高いままです。
  • 流動性の問題が顧客の支払い不履行の主な理由です。
  • キャッシュフローのボトルネックであるDSOの悪化を回避することが最も重要です。
  • 主に売上を伸ばすために期待される信用取引での企業間取引が増加しています。
  • DSOの変動性と製品およびサービスの需要の減少が主な懸念事項です。

詳細にご興味がある方へ

インドおよび以下の業界における支払い慣行の詳細については、以下レポートを是非ダウンロードしてご覧ください。

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  • 電子機器/ICT