アジアの貿易発展を阻害する経済のデカップリング

エコノミックリサーチ

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2020/12/09

経済成長の回復が見えてきたのは対外貿易にはプラスですが、中国や米国の新政権が進める経済政策も影響を持つものと思われます。

重要ポイント

  • アジアのほとんどの国で景気回復の傾向が見られ、特にベトナムと中国が最も力強い経済成長を遂げました。最も後れたポジションからスタートしたのがインドです。
  • 他国を上回る景気刺激策で経済を支えてきたのがタイ、マレーシア、中国などの国です。しかし、中国政府は、マクロレバレッジの上昇を避けるため、しばらくは自制すると思われます。
  • 中国の新しい「5ヵ年計画」は、輸出ではなく、国内の消費者主導の成長に重点を置いています。輸出は「二重循環」戦略の対外的な柱であるにも関わらず、中国は、海外の技術力への依存を減らし、外部からの衝撃に対応できる体制を整えることを目指しており、経済のデカップリングという国際的な流れを強化することになるでしょう。
  • 新政権に代わる米国は、中国に対する厳しい姿勢を崩さない構えですが、想定可能で対立は緩和されるでしょう。バイデン政権は、EUや日本などの同盟国と連携することで、トランプ政権時の強硬姿勢を避け、貿易や競争における中国の変化を推進できるのではないかと予想されます。
  • 中国の人件費の上昇や貿易政策の変化によって、地域のサプライチェーンに変化が生じています。新型コロナウイルス感染拡大によって、一国に依存することの問題点が浮き彫りになり、この傾向は今後も強まるでしょう。相対的な魅力に基づいて見ると、それぞれセクターは異なるものの、ベトナム、マレーシア、シンガポールが最も有利な位置にある国として際立っています。