国際貿易の変貌する景色

2016年が確かにどれだけ予想外(前例のないという方もいる)の政治的変化の年であったかを振り返ってください

 

 

 

 

Moving lights in city | Atradius

 

 

 

 

2016年の結果として、確かに多くの専門家がいわゆる「面目を失った」状態になりました。そして、今でもその混乱がまったく落ち着こうとしない中、米国や欧州のような先進国での変動は将来の国際貿易にどのような意味を持つのでしょうか?

経済的な観点

ほかの問題はともかく、経済的な観点からは、米国大統領にドナルド・トランプ氏が選出されたことと、ブレグジット、すなわち英国がEU離脱を決めたことの間には類似点があります。社会の最貧下層の多くは、自分たちが抱えている問題が政治的既成勢力から無視されていると感じており、二つとも大部分はその世論の高まりの結果でした。太平洋の両側での選挙運動の多くは、実は機能せず、政治用語でいう「ひどい環境にいるが愚痴は言えず」、かつ米国と英国のほか、彼らの現在の貿易相手国の多くに共通した恐れである孤立主義、米国の保護貿易主義の上に成り立っています。

新興市場

確かに、メキシコのように現在アメリカ合衆国と強い取引関係にある新興市場はトランプの公約の損害を被る立場にありました。またトランプ氏は選挙時の公約だった環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの撤退を実現してしまったため、当事者12か国間の密接な協力関係および自由貿易の構想は頓挫しました。

かしながら、多くの新興市場のファンダメンタルズは、物価の緩やかな上昇に支えられる形で依然として堅調です。事実として、これを記述している時点でボラティリティや緊張感はほとんどの新興市場よりも先進諸国を取り巻いているように見えます。

英国のEU国民投票

英国のEU撤退の衝撃は、英国およびその貿易パートナー双方に依然として見られます。英国政府が発する騒音が、EU以外の国とお互いにとって利益のある貿易取引を創出することが可能であるとの自信を伝えており、実際に日産をはじめとする非EUの企業は英国への投資を継続しています。自身たちの運命に全体的に満足していない可能性のある他のEUメンバーたちは、きっと興味を持ちつつEU離脱の影響に従うことになるでしょう。

米国の大統領選挙及び英国のEU国民投票で表面化したひとつの主要論点は保護主義対グローバリズムの構図であり、これは永遠のジレンマです。国家政府は、自国産業の競争優位の形をつくることで、自国民の職と事業が海外との競争で脅威にさらされていると感じている市民を常になだめようとします。しかし、他国が価値を認める商品、技能、ノウハウやリソースをそれぞれの国が示すため、グローバル規模での国際貿易が普及し、私たちはそれで一層豊かになります。そういうわけで、保護主義と自由貿易のハイブリッドが国際貿易の通常の携帯として残り続けるということが、少なくともある程度の確信をもって予見することができます。

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