カントリー・レポート 日本 2020

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2020/08/20

経済活動の深刻な停滞後の小幅な回復を予想。

2020 Country report Japan - Performance forecast

経済情勢

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で経済活動が停滞

日本のGDPは2020年に6%近くのマイナスとなる見通しだ。これは、新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向けた政府の施策が国内支出を大きく抑制すると同時に、世界的な景気後退とサプライチェーンの混乱が製造業企業や輸出業者の痛手となることによる。

新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、すでに悪化の兆候を示していた日本の経済を襲った。輸出の伸びは2019年に鈍化したが、この背景には世界的に貿易、製造の拡大ペースが減速したことと中国からの需要減少、保護主義リスクの高まりがあった。昨年は中国と他の地域諸国の景気が減速する中で円高は持続し、日本の輸出競争力を圧迫した。同時に、2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられると、その直後に物価が上昇した一方、消費支出は減少した。こうした要因のすべてが2019年10-12月期(第4四半期)の大幅な景気縮小を招き、GDPは前期比6.3%のマイナスとなった。

新型コロナウイルスの感染拡大阻止を狙った施策や最低賃金の引き上げ凍結、失業者の増加を背景に、家計消費は2020年に6%超縮小する見通しだ。小売売上高は、非必需品の売上減少に足を引っ張られる格好で7%超の落ち込みを示すとみられる。同時に、新型コロナのパンデミックが情報通信技術(ICT)部門の回復を阻み、自動車メーカーが相次いで生産の一部停止を発表しているほか、国内外の機械需要が減退していることから、鉱工業生産は11%以上ことになりそうだ影響は、日本に大きな打撃を与えるでしょるでしょう減少すると予想される。輸出は、アジアの主要な貿易相手国(特に中国)と米国からの需要が急激な縮小を示しているため、2020年に前年比16%超減少する見込みである。

政府は117兆円(GDPの約20%)の財政刺激策を提案している。主要な対策には、すべての個人および影響を受ける企業への現金配布、納税の延期と社会保障負担、および公的および民間の金融機関からの譲許的融資が含まれる。

日本銀行はこれまで、2016年初頭から-0.1%であった主要金利の引き下げを差し控えてきた。パンデミックによるマイナスのショックに対処するために、日本銀行(BoJ)は流動性を提供し、信用フローをサポートするための一連の措置を導入した。また、資産購入も増加している。日本はすでに主要な先進国の中で最大の512兆円の中央銀行資産(GDPの93%)を記録している。新しい資産購入プログラムを考えると、バランスシートは2020年にさらに拡大するだろう。

 

企業倒産は急増する見通し

景気低迷を背景に、企業の倒産件数は2020年に13%増加すると予想される。特に小売、輸送、ホスピタリティ部門で倒産が深刻化するほか、輸出依存度の高い企業ではICT関連製品を中心とした(特に中国からの)需要の縮小が打撃となるだろう。

2021年は小幅な回復

政策の余地が限られ、経済の見通しに関する不確実性が著しく高まっている理由から2021年には、GDP成長率が2.8%と小幅に回復すると予測される。現在、2020年下半期に内需が回復し始め、2021年には輸出が9%以上増加すると予想される。公共消費と投資は、かなりの景気刺激策によって促進される可能性がある。ただし、いくつかのマイナス面のリスクが残っている。より大きく、より長く続くコロナウイルスのパンデミックは、永続的に低い消費者感情、より多くの金融市場のボラティリティ、および世界的成長のさらに深い収縮につながる可能性がある。米中貿易紛争の一層の拡大とアジアのサプライチェーンに対する保護主義の高まりの影響は、日本に大きな打撃を与えることになりそうだ。