金属・鉄鋼業界動向 イギリス - 2022年

2021年から2022年初頭にかけて、金属・鉄鋼業界は堅調かつ旺 盛な需要を示しましたが、供給のボトルネックは解決されないま までした。2021年と2022年の第1四半期、金属・鉄鋼の販売価格 が急激に上昇し、2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻直 後にピークを迎えました。価格が高騰したことで、多くの鉄鋼関 連の株主やサービスセンターは、低コストで仕入れた後、高値で 売り抜けることができたため、利益率が高くなっています。この 機会を利用して、多くの企業がレバレッジ取引を解消し、貸借対 照表（収支）を大幅に改善しました。

 

 

一方、エネルギー価格や物価の急騰は、仕入れコストの上昇分を 転嫁できない一部の金属・鉄鋼メーカーに影響を及ぼしました。 特に、構造用鋼などを建設業界へ供給する場合、固定契約を結ん でいる企業が多く、柔軟に価格を転嫁できないため、利益率を逼 迫しています。

現在、金属と鉄鋼の生産量と売上高は、景気の低迷の影響を強く 受けており、持続的な高インフレと金利引き上げが経済に負担を かけている状態です。英国の鉱工業生産は、2022年に2%、2023 年に0.6%と停滞する見込みです。自動車や航空宇宙産業に依存す る金属・鉄鋼企業は、需要の減少やサプライチェーンの問題によ るプロジェクトの延期という問題を抱えています。財政刺激策が インフラと住宅建設を支える一方で、2022年下半期から2023年にかけて、仕入れコストの高騰が建設業界の停滞を引き起こすと 考えられます。

業界での支払いは平均で90日かかります。支払遅延や債務不履 行が増加し始め、この傾向は数か月間続くと思われます。下流の 中小企業は、価格競争にさらされる一方で、高い間接費を抱え、 信用リスクは増大しています。需要の悪化により、在庫を多く抱 えるサービスセンターが増え、さらなる切り下げの影響を受けや すくなっています。企業の倒産件数は、倒産モラトリアム制度や 大規模な財政支援により、2020年と2021年は歴代で最低数を記 録しましたが、今後12か月間に前年度比で約30%増加する可能性 があります。当社の引受スタンスは、全般的に非鉄金属サブセク ターに対してはオープン、鉄鋼はニュートラル（中立）を維持し ます。鋳物・金属製造分野に関しては、制限を設けています。