B2B決済とキャッシュフロー 2023 アジア

支払動向バロメーター

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調査対象となったアジア企業の70%は、今後数カ月で需要が急増すると予想している。

2023年アジアの支払動向バロメーター調査は、2023年第2四半期末から第3四半期初めにかけて実施されたため、このことを念頭に置いて調査結果を見る必要があります。

アジアレポートの重要ポイント

与信管理を重視して流動性の回復力を強化

  • アジア企業は経済的課題に対応して昨年1年間に企業間 取引(B2B)における支払の選択肢を拡充しました。顧 客の支払債務不履行のリスクを避けるため、売上の49% 信用取引で、51%は現金ベースで行われました。

  • 信用取引による販売を選択した企業はB2B顧客に対して 支払条件の延長が認められましたが、顧客がキャッシュフローの困難を乗り切る手段にもなりました。アジア地域全体の支払期間は現在、請求書発行日から平均60日 です。

  • この方針により支払回収サイクルが長期化することにな りますが、これは売掛金回転日数(DSO)の悪化でも明 らかです。調査対象となったアジア企業の53%は、支払 期限を過ぎた請求書の支払を受けるまでに著しく長い時 間がかかりました。アジア地域全体で、多くの企業が平均DSOが100日と回答しています。

グローバル経済の不確実性により、 事業の収益性に対する懸念が高まる

  • 世界経済の低迷が長期化する可能性に対する不安が、アジア 全体の企業にとって向こう1年間の主な懸念となっています。 これが地域全体、特にベトナムの企業に不確実性の影を落としています。各企業が自社の経営や成長戦略への影響を考慮する中で、不安定なエネルギー価格や商品価格によって引き 起こされるインフレ継続も懸念です。潜在的なキャッシュフ ローの問題や流動性不足とともに、金利の変動に対しても各 企業から懸念の声が寄せられています。さらに、特に中国で 調査対象となった企業の間で懸念されているのは、特に海外市場の取引時に直面する競争圧力の高まりです。
  • こうした懸念にもかかわらず、向こう1年間の需要には前向きな見通しがあり、調査対象企業の70%、特にシンガポールで売上増が予測されました。利益率については より慎重な姿勢が示され、企業の56%が増加を予測しま した。

流動性の回復力を確保するには、戦略的な与信管理の導入が最重要課題となります。調査対象企業の47%が取引信用保険を採用するというアジア企業の柔軟なアプローチは、信用供与に伴う潜在リスクから自社を守りながら、成長市場がもたらす商機 を活用できるという点で特に意味 があります。

リスク管理フレームワークの一環と して取引信用保険を組み込む適応力 は、アジア企業の回復力と事業運営 に対する先進的なアプローチを示し ています

Andreas Tesch

Andreas Tesch 
Chief Market Officer of Atradius 

アトラディウス支払動向バロメーターは、全世界の市場 における企業間(B2B)支払動向の年次調査です。当社の調査は、現在の厳しい経済および貿易環境がB2B 顧客の支払行動に及ぼす影響に対して各企業がどのよう に対処しているかについて、調査対象企業から直接ヒア リングできる機会となります。この調査は、各企業が B2B顧客からどのように支払を受けているか、また不適切な決済によって引き起こされる問題点にどのように対処しているかについて貴重なインサイトとなります。 

さらに詳しく

付属統計資料で、詳細なグラフおよび統計値をご覧くださ い。本文書は『アトラディウス支払動向バロメーター2023』 の一部です。

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