香港:取引信用リスクが増加傾向

支払動向バロメーター

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2022/06/28

貸倒償却が驚くほど増加しているため、香港の企業は戦略的な信用リスク管理ソリューションを模索するようになっています。

はじめに

2022年版アトラディウス支払動向バロメーター(香港編)の調査結果を見ることは、企業は事業の運営で現在の厳しい経済状況や取引環境の破壊的な影響にどのように対処しているのかを、企業から直接知る貴重な機会です。

取り上げるトピック:企業間(B2B)顧客に対する支払条件、延滞したB2B請求書を現金化するまでの平均時間、支払遅延や不払が企業に与える影響、今後数か月間で予想される収益性への課題など。

調査アンケートは、2022年第2四半期に香港の企業によって記入されました。調査対象の企業からの回答は、2022年6月版のアジア向けアトラディウス支払い慣行バロメーターの一部である香港のレポートに含まれています。

レポートの重要なポイント

未払い請求書は深刻な懸念事項であり、不良債権償却は増加傾向

  • 香港の企業では、貿易信用リスクが上昇しており、 企業間請求書に記載されている売掛債権取引高の48%は延滞として報告され、未払いの6%が貸倒れとして不良債権償却されました(2021年の調査から50%増加)。今回の調査対象のほとんどの企業で、企業間取引における信用リスクの戦略的管理の重要性について認識が高まりました。ほとんどの企業は、特定の貿易金融ソリューションを購入するか、リスクを信用保険会社にアウトソーシングすることを選択したと語っています。調査対象企業の4分の1は、取引先の信用リスクを自社で保持および管理していると述べています。
  • 売掛金回転日数(Day Sales Outstanding: DSO)の前年比からの変動を最小限に抑えることに重点を置くことは、キャッシュフローと収益性を保護するために様々な措置を講じた企業からアンケート回答がありました。調査対象となった多くの企業が、信用保険に加入することでDSOが改善され、運転資金が解放されたと語っています。

パンデミックの影響により、ビジネスに更なる負担がかかる

  • 香港の企業は、今後一年間にいくつか懸念があり、主要な問題は、パンデミックの継続的な影響から彼らのビジネスを守ることであると語りました。政府の強力な財政支援により、今年は破産が大幅に減少すると予想される中、香港の企業は、運用上のニーズを満たすために流動性レベルを保護する能力に懸念を表明しています。これに加えて、このような困難な経済環境における売掛金に関わる効果的なコスト管理について懸念があります。
  • この不確実な見通しにもかかわらず、ほとんどの企業は今後12ヶ月の間で企業間取引の支払いについて幾分の改善を期待しています。 これにより、今後新規顧客発掘も含めて売上が伸びる可能性があると考えています。しかし、厳しい取引環境が続く中、多くの企業は、企業間取引の顧客に対してより寛大な与信方針を採用するには、事業の存続を保全するために適切に考案された与信管理が必要であると語っています。

香港における主な調査結果

  • 顧客による支払い不履行が懸念される中、信用取引による企業間取引の売上高が減少しています。
  • 信用販売の資本コストが支払い条件を設定する際の主要な基準です。
  • 未払いの請求書に関する懸念により、与信管理の強化が求められています。
  • 流動性の問題、事務手続き管理上のトラブル、顧客の紛争(Dispute)が支払いデフォルトを引き起こす主な原因となっております。
  • 与信管理と信用リスク集中の回避に重点を置いています。
  • 主に新規ビジネスを獲得するために、信用取引が増加すると予想されています。
  • DSOの悪化、パンデミックによるキャッシュフローと利益への影響が懸念点としてあがっています。

詳細にご興味がある方へ

香港および以下の業界における支払い慣行の詳細については、以下レポートを是非ダウンロードしてご覧ください。

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