カントリー・レポート インドネシア 2020

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2020/05/06

個人消費と輸出は2020年に急減の見通し。

2020 Country report Indo - Performance forecast

政治情勢

新型コロナウイルス感染拡大への対応で遅れ

2019年4月、ジョコ・ウィドド大統領は55.5%の支持率を獲得して大統領に再選され、2024年までの2期目に突入した。大統領は1期目同様、製造業部門とデジタル経済の支援を狙ったインフラ改善や、労働市場と外資投資規制の改革への取り組みを続けている。だが、政策目標の一部主要要素は、既得権を擁護したいグループの抵抗により膠着状態に陥っている。

インドネシア政府は、新型コロナウイルスの感染拡大阻止に向けた包括的措置を実施する点で、おそらく経済へのマイナスの影響に対する懸念から、近隣諸国に遅れをとった。このため、一部で政府への批判が高まっている。措置については、部分的都市封鎖などの厳格な手段が導入されている。

経済情勢

経済成長の急減速

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による国内の部分的封鎖と世界経済の悪化により、インドネシア経済は深刻な影響を被る見通しだ。GDP成長率は2019年の5%増から2020年には横ばいに転じるか、低下することも予想される。

ここ数年間は個人消費がインドネシア経済の主な牽引役となってきたが、非必需品への家計支出が大きく縮小していることから、2020年通年の個人消費は2019年と比べ急激な落ち込みを示すと予想される。観光業部門は深刻な打撃を被っているほか、主要なインフラプロジェクト(道路、港、発電所の新設)に生じた混乱が収束していないことから、投資も2020年に減少する見通しだ。部門別では、国内輸送、サービス(観光を含む)で新型コロナの影響が特に顕著に現れている。食品部門では、コモディティ輸入への依存度の高い企業が、ルピア安を背景とした価格上昇と資金繰り難に見舞われている。

輸出がGDPに占める割合は22%でしかないため、他の一部の東南アジア諸国と比べるとインドネシアは世界的な貿易低迷の影響を受けにくい。だが、世界需要の急激な縮小が打撃となり、同国輸出は2020年に10%超減少する見通しだ。中国からの需要減退とコモディティ価格の低下により、特に鉱業とエネルギー部門の生産者および輸出業者が厳しい状況に追いやられるだろう。

政府は、財政赤字の上限を対GDP比3%と定めた法律を改正することで、2020年から2022年の期間についてこの上限を撤廃したほか、GDPの2.5%に相当する景気対策に着手した。経済支援の主要な措置としては、医療支出の拡大や社会保障施策、法人税の減税、ローン再編、中小企業(SME)向け特別融資、貧困層やインフォーマルセクターの労働者への現金給付などがある(インドネシアの人口2億7,000万人のうち、約7,000万人がインフォーマルセクターで働く)。加えて、中央銀行も3月に追加利下げを実施して政策金利を4.5%としたほか、4月には市中銀行の預金準備率引き下げも決定し、銀行業界が地元企業を支援できる余地を拡大している。

こうした景気対策は内需への悪影響を緩和する要因となるだろうが、大規模な支出に、税収とコモディティ収益の大幅な減少が相まって、財政赤字は2020年に対GDP比7%を超え、公的債務はGDPの45%(2019年は同36%)に拡大する見通しだ。同国では持続的に低い徴公共支出拡大に歯止めをかけており、予算配賦の非効率性が解消されていない。

対外ショックに対する脆弱性は強まっている

銀行部門は健全で、十分な資本(自己資本比率23%)を備えているほか、不良債権比率も低い(2.5%)。だが、対外純資産残高はマイナスであり、対外資金の調達に依存している商業銀行は調達コストの変動や対外資金の利用可能性の影響を受けやすい。

債務輸出比率(財・サービス輸出)と債務返済比率がともに低下傾向にあるなか、インドネシアの対外収支はここ数年で改善しており、外資依存度も低下している。

だが、債務返済比率は比較的高い水準にとどまっており、年間経常収支は赤字を抜け出せないでいる。

国債の3割超を海外投資家が保有するインドネシアは、世界金融市場の混乱に構造的に脆弱である。こうした国債の海外投資家保有比率は近隣諸国を上回り、同国の金融資産が資本流出に非常に敏感に反応する要因となっている。加えて、インドネシア社債についても、その約3分の1を海外投資家が保有しているため、借り換えリスクは高いままだ。

2020年1-3月期(第1四半期)にはインドネシアと他の新興諸国からの大規模な資本流出が発生したことにより、ルピアは急落し(3月に対米ドルで14%下落)、インドネシアの株価指数も大幅に低下した。これに対し、中央銀行は、ルピア安に歯止めをかけ国内金融市場の安定化を図るため為替市場とフォワード市場への介入を強化し、国債購入を実施した。金融安定リスクが増大したため、中央銀行が追加利下げを行うのは当面困難ながら、経済成長の下振れリスクが高まるなかその対応として、2020年4-6月期(第2四半期)には金融緩和が実現する可能性が高い。

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