中国:債務不履行の連鎖反応により キャッシュフローが悪化

支払動向バロメーター

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2022/06/28

中国の企業のほぼ3分の1が、この数か月でDSO(売掛債権回転日数)が悪化し、 その結果、事業流動性に影響が及ぶことを懸念

はじめに

アトラディウス支払動向バロメーターは、全世界の市場における企業間(B2B)の支払動向の調査で、毎年実施しています。

B2B顧客に対する信用販売関連の債務不履行リスクの管理について、特定の市場や地域の企業からの直接的なフィードバックも記載しています。取り上げるトピック:支払いターム、請求書の回収に要する時間、支払遅延の管理、支払遅延が企業に及
ぼす影響、想定される事業の動向など。

この調査結果は、事業を展開する市場や地域について、説得力のある洞察を与えてくれると確信しています。

本書は中国に関するレポートです。

中国:調査結果の概要

企業を安全に成長させる戦略的な信用リスク管理の重要事項

  • 中国のB2B取引において、信用販売は非常に重要であり、今回の調査では、半数の企業が以前と比較すると、信用取引を受ける件数が増えたと回答しています。B2Bの未払い債権の追跡コストが高騰し、過去数か月で支払不履行の件数が微増したため、懸念が表面化しています。それにも関わらず、–信用取引が中国のビジネス環境における明確な要因となっているようです。
  • しかし、信用取引をするにあたっては、–顧客の支払不履行リスクに対処する強力かつ効果的な戦略的経営判断が必要であることはハッキリとしています。信用リスク管理に関しては、市場に多種多様な代替策がありますが、特定の取引金融ソリューションと相互に補完することができる、信用保険会社へのアウトソーシングは、中国でも関心が高まっているようです。以前と比較すると、このアプローチを導入する企業は20%以上増えています。

前向きな展望、キャッシュフローを保全する信用保険の役割が拡大

  • 調査対象となった中国の企業のほぼ3分の1が、この数か月でDSO(売掛債権回転日数)が悪化し、その結果、事業流動性に影響が及ぶことを懸念していると回答しています。取引先の支払不履行の影響を軽減するため、B2B顧客に対して積極的な対策を採る企業も多く、早期支払いに対して割引を適用するポリシーを設定し、キャッシュフローを最適化しています。
  • 世界中の市場と同様、中国企業の最大の関心事は、厳しい経済・取引環境の中で、長引くパンデミックの影響から企業を守ることです。今後1年間は、DSOの悪化が予想され、中国市場の企業の大部分(35%)が「今後も信用保険の利用を継続する」と回答したのもそのためでしょう。

中国:調査結果の概要

  • B2B顧客に対する財政面でのサポートで企業間信用の役割が拡大
  • 顧客の支払いタームが短くなり、信用販売の始期に調達費用が悩みの種に
  • B2B顧客の未払い請求書の増加で回収業務を強化
  • 支払い遅延の影響によりキャッシュフローが悪化
  • 厳しい措置により、顧客の債務不履行の影響を緩和
  • 請求の現金化が悪化する中、対策として信用保険の人気が高まる
  • 信用保険が提供する戦略的与信管理に注目